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あの日あなたに恋をした【怪獣8号:保科宗四郎】

第9章 決断


「……美影、呼ばれとる。」


身体を揺さぶられ目を開けると、宗四郎さんが欠伸をしながら呼びかけていた。

扉の方からノックの音と母の声がする。

気付けなかった…。


一瞬で目が覚めて慌てて扉に向かおうとしたがベッドから落ちて転んでしまった。

変な声を上げてしまったので、母が扉を開けて入ってくる。

宗四郎さんは私に大丈夫かと声をかけたが、母が入ってきたことによって、すぐにベッドから出た。


私の肩を抱きながら母の方を見てお邪魔してますと言った。


「あら……副隊長さん?」


「はい、この前はどうも…。」


気まずいようだ。
それもそうか、娘と一緒にベッドで寝ていたのだから。


ワンピースを引っ張られる感覚がして彼の方を見たが、その視線は母に向いていた。


宗四郎さんが母に大事な話があると言ったので、母は下で話そうと部屋を出ていく。


「すまん、捲れとったから直した。」


一瞬なんのことかと思ったが、ワンピースを直してくれたのだと気付いた。

私、変な勘違いした…。


お礼を言って、軽く髪や服を整えてからリビングに向かう。

宗四郎さんは先程買ってきた紙袋を手にした。


すでに母がソファに座っていたので、宗四郎さんは紙袋の中身を出して母に手渡し、一緒に向かい側に座った。

もう少ししたら妹も帰ってくるので少し待ってもらう。


その間に母に、一応手術をしたことを伝えた。

お金は大丈夫かと聞かれたが、宗四郎さんが大丈夫だと答えたので、彼が出したことがバレてしまった。

母が慌てて通帳を手にするので、必死に止めた。

私も返したいのだが全然受け取ってくれなそう…。
15万は超えていた…。


「僕がそうして欲しかったんです。僕のせいで痛がる彼女は見とうないので…。」


そんな風に言ってくれる彼に、それでも半分くらいは受け取ってくれないかと言ったが、嫌やいらんときっぱり断られてしまった。

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