第5章 嫉妬
元々来る予定はなかったので、ルームメイトに何も言っていないのだ。
まあ、言わなくてもわかってるかもしれないが...。
「また不意打ちでキスするかもしれないので、気を付けてくださいね。」
揶揄うように言ってみると、弱々しい声が聞こえてくる。
「ほんま、抑えられんくなるからやめてくれ...。」
抑えなくてもいいのに...という言葉は飲み込んで笑う。
背中をポンポンして離すよう促すと、すんなり離してくれる。
帰ろうと扉に向かうと、後ろから抱きしめられてしまった。
「嫌や、一緒に寝ようや...。」
ここに来ることも言っていないので、伝えないといけないと言うと、彼は通信機でキコルちゃんに繋ぎ、今日は私は戻らないと伝える。
ほぼ強制じゃないですか...。
まあでも、私も一緒に入れるのは嬉しいので、扉に背を向けて宗四郎さんと向かい合う。
「僕も甘いと思うけど、美影も相当僕に甘いよな。」
へにゃっと笑った。
「今のはほぼ強制的......。」
聞かへんとでも言うように太腿に手をかけて持ち上げられる。
私をベッドに置くと、急いでシャワーを浴びて来るから待っててと言われた。
別に急がなくてもいいと言えば、嫌やと言って脱衣所に消える。
宗四郎さんが浴室に入った気配がし、息を吐く。
ずっとドキドキしてる。
もう色んなことをしているのに、彼といると心臓が壊れそうになる。
一生慣れることはなさそう...。