第5章 二人でアオハル
頬にキスををされ、私は慌てて顔を離した。
「そ、外だよ。」
「したくなった。」
「ほら、な?俺の勘当たった。」
「さん…男の趣味悪い。」
「普通話しかけるか?こういう時は見て見ぬふりした方がいいだろ。」
前からやって来たのは、生徒三人組。
夜の9:30近いというのに、抹茶ソフトをもって京都を満喫しているようだった。
わたわたと、私は悟さんの顔を押しのけ繋いでた手を振り払った。
もう手遅れだろうけど、恥ずかしい。
「おう、楽しんでるかー。」
悟さんは気にもせず私の肩に手を回し、三人に手を振っている。
「なんか先生、私たちより宿泊研修楽しんでない?」
「そりゃね。」
野薔薇ちゃんに言われ、悟さんは大きく頷いた。
確かに悟さんは、青春に年齢は関係ない,自分も楽しむ。とは言ってはいたが…。
私は必死で肩に回っている手をどけようと押しまくっていた。
「遊んでもいいが、夜10時には流石にホテル帰れよー。」
「わかってるよ、先生。先生のお手製のしおりに書いてあったからな。」
にかっと笑って虎杖くんは言った。
先生はそんなことまで書いてたんだなーと、私は微笑ましく思った。
「さん、考え直した方がいいわよ。」
野薔薇ちゃんは、私を殺す勢いで睨みつけ、三人でホテルの方へと帰っていった。
「野薔薇にかなり懐かれたな。」
「懐かれたの?先生とられてヤキモチ妬いてるのかと思った。」
「逆逆。俺なんかやめとけって言ってんの。」
くっくと笑いながら、悟さんは再び私の肩に手を伸ばした。
「こんな居心地いい横。辞めるわけねぇじゃん。」
そう言って肩を引き寄せ、私の頭にキスをした。
背が高い悟さんはよく私の頭にキスをする。
顎を乗せて来たり…ひどい時は腕を置いてきたりもする。
「んもうっ、重いよ。」
そう言って悟さんの脇腹を押すのだが、案外それがそれが心地いいのだ。
ーー…本人には言わないけれど。でも、きっと心臓の音でバレてる。彼には嘘はつけない。