第12章 二人は
私は悟さんのため息を聞いて不安になった。
やっぱりまだ怒ってる…?
「は貧弱なんだから、宿儺が治したっていったって、血が足りないだろうし、痛みは残ってるだろうし、こっちはもう我慢してんだから。」
私のおでこにこつんとおでこを合わせてきた。
至近距離で見る青い瞳と、ふわふわの白い髪の毛に戸惑う。
私は顎をあげ、ちゅっと悟さんの口の真横あたりにキスをした。
「あっ…ごめん。私が我慢できなかった…。」
悟さんは呆れて私を怒ってるのに、ぶりっ子みたいなことをしてしまった。
「はぁ…」
3回目っ!
「あー、もうっ!」
ぐしゃぐしゃ!っと自分の髪の毛をかきむしって悶える悟さんに私は余計不安になった。
「髪の毛…綺麗にセットしてあったのに。」
サイドを流し、綺麗に整えてあった髪の毛は乱れてしまっていた。
「オマエ…ほんと僕の見た目だけだね。」
「えっ!そんなことないない!見た目も中身も好き!」
「…ま、いいけど。」
口を窄めて不貞腐れる悟さん。
そんな悟さんの羽織に私は触れた。
ツルッとした上品な羽織に、袴のようなものを履いていて、本当にかっこよかった。
前の羽織に少し私の血がついてしまったのが残念だ。
「今日の服すきー。当主として動く時はこれ着るの?」
「また見た目…。そうだよ。正式な時はね。」
「よく似合ってる。白い髪の毛に白い着物とかいいセンスだね!」
「京都で作ってもらってるからね。」
……。
「…血で汚して…申し訳ありませ…」
「ぷっ!」
「おいくら…ですか?」
「まぁ全部で数千万はするかな。」
「も!申し訳ありませんっ!」
くくっと笑う悟さんに私は震えた。
クリーニングとかできるのかな。
もうその辺のクリーニング屋さんでは無理な案件な気がする。
「いいよ。また作って貰えばいいし。それにまだあるから。」
「お、おぼっちゃま!」
なんてレベルの違う会話だ。
「…住む世界違いすぎて、不安になりそうだよー。」
「ダメだよ。こっちの世界きてもらわないと。」
逃がさないと、言わんばかりに悟さんはまた私の手を取った。
腰に手が回ってきて、おでこにキスをされた。
「血っ、ついちゃうから!」