第8章 二人で一緒に
私は聞こえてきた声にビクッと体を揺らした。
宿儺の声がする。
虎杖くんの頬に口がもう一つできていた。そこから声がする様だった。
「ひっ!」
私は驚いて一歩下がった。
「あ、宿儺!オマエ出てくんなよ!あれ?それとも五条先生と話ししてんの?」
自分の頬の方へと視線をむけ、虎杖くんは言ったが、悟さんは宿儺に向けて続けた。
「僕のせいで?」
『あぁ。の場所がバレ、が邪魔だと思う呪霊がぞくぞく集まってくるぞ。馬鹿め。』
「…。」
『浄化できない強い呪霊ばかりだ。』
虎杖くんは何かを言いたそうにしていたが、邪魔をしない様、自分の口を押さえていた。
「私が高専や家の結界から出たから…?」
私が恐る恐る言うと、宿儺が声を上げて笑った。
『いいや、結界など関係ない。その男のせいだ!ふははは!知りたいか?オマエがやったこと。』
悟さんは黙って虎杖くんの頬にある口に視線を向け続けた。
『知りたいならからの対価が必要だ。そういう話だったろう?なぁ。』
私は悟さんの背中に隠れるように下がった。
悟さんも私を隠す様に立ってくれた。
『対価がないと何も言わん。』
すんっと突き放す様に言う宿儺に、私は後ろから悟さんの裾を掴んだ。
「対価払うよ?」
とたん、にんまりと笑う宿儺の口元に、悟さんは不愉快そうに私の頭を押さえ込んだ。
「いらない。は下がってなさい。」
『そんな酷い対価じゃないと思うがなー。良心的な対価だ。も他の人間にも傷つけたりせん。』
それはそうだけど…
唾液をよこせと、キスをするということを悟さんは知らない。