第8章 二人で一緒に
「この後は私は他の術師に同行予定ですので、五条さんは…」
高専に着いて、車を降りると伊地知さんが悟さんにそう言った。
「あー、いいよいいよ。あとは自分で運転するから。この車ここ置いといてー。」
「え、悟さん運転できたの!?」
それなのに家から高専までの運転手を伊地知さんに頼んだの!?
と、驚きつつ私は荷物を抱え直した。
「も、荷物車に入れたままでいいよ。」
「あ、はい。」
「五条さん、早く帰ってきてくださいよ。」
メガネをくいっとあげ、伊地知さんはどこかに電話をかけながら高専に向かった。
「さて、。」
「なに?」
じーーーっと見つめられ、私はどうしたらいいのかわかんなくて、おどおどとしてしまった。
「しばらく僕と二人旅だね。」
急にそんなことを言われるもんだから、私は返事が遅れてしまった。
「え?あ、うん。」
「濃密な旅にしよーねー。」
にんまり笑って私の肩に手を回し、頬にキスをしてこようとしたので、私はぐーーっと顔を押し返した。
「なーんで拒否するの。」
「あ…いやなんとなく…」
「先生っ!」
車の近くにいると、高専の中の方から誰かが駆け寄ってきた。
「電話で急ぎってどうしたの?」
虎杖くんだ。
さっき悟さんは虎杖くんに電話をして呼び出していたんだ。
あの宿儺にあって以来で少し緊張するが、表情や仕草は全然宿儺とは違って、いつもの優しく活発な虎杖くんで私は安堵した。
「と、阿曽の子孫かもしれない人に会いに行ってくるよ。」
「えっ?なになに?あほ!?どうしたの五条先生!」
何も知らない虎杖くんは、悟さんに言われ頭にハテナを浮かべていた。
『術師、お前のせいでの存在が明るみになった。』