第6章 二人?でアオハル
全然、虎杖くんとは違う人ーー…。
『貰うぞ。』
「…っ!」
後頭部の髪の毛を鷲掴みにされ、後ろに引っ張られた。
「…っん!」
男の顔が近づいてきたと思った瞬間、もう深く口付けられていた。
髪の毛を引っ張られて上を向かされているから、全然動くことができない。
男の舌がぬめりと入ってきて、私は男の服を掴んだ。
「…っ、…はっ…ふ…ン」
食い尽くされる。
そんな感じだった。
『阿曽ほどではないが、変わらんな……。よい。』
私の顎を鷲掴みにし、満足そうに笑う男を私は睨みつけた。
「なん…で……」
『その必要がある。』
「呪力が上がるとか…、浄化の力で綺麗になる…とか?」
『ふっ…ふははは!』
顎を掴む力が強くなって、痛みに私は顔を顰めた。
『小娘にそんな大それた力があるわけなかろう!自惚れるな!ははは!』
「…っ」
髪の毛も痛くて仕方なかった。
『美味い。それだけだ。酒のような…体をまぐわすような。快感。そう、快楽なんだ。』
ーー…ただの暇つぶしだ、貴様は。
そう言って、男は私の舌に噛みついた。
「……っ…はっ…」
『ほら、飲み込め。唾液をもっと出せ。』
感じてなんかない……
長い舌が撫でていく所がゾクゾクする…
嫌だ…
「ん…ゃ……っ」
私の太ももをつーーっと撫でてくる指先。
私は驚いて彼の胸を押した。
「…いっ。」
舌先に歯が当たり、中から鉄の味がした。
『暴れるから噛んでしまったではないか。しかし、やはり血が一番だな。』
「…はっ…はぁ…」
ぺろりと舌を出し舐める仕草は邪悪そのものだった。
あまりに私の呼吸を無視したやり方に、私は酸素を求めていた。
『あやつが来るな。小娘、力のことは良いが、取引のことは話すなよ。これは契約だ。』
そう言って爪の先を私の下唇に押し付けた。