第6章 二人?でアオハル
一週間前から始めた呪力を手に集める練習は…意味がない?
私の力……。
「…知りたい。」
私がつぶやくと、目の前の男はニヤッと笑った。
「でも、血は…私が傷付くと……。」
『あぁ、あの男と繋がっていたのだな。』
「知ってたの?」
私の質問には答えなかった。
答える気もなさそうだ。
ふんっとめんどくさそうな表情になった。
『ならば、仕方ない。唾液をよこせ。』
「え……」
『貴様の体液がいい。甘美なお前の…』
「え、ここで、ぺって吐き出すの?」
私がそう言うと、男は手を顔にやりゲラゲラと声を上げて笑った。
『くはっ!貴様はやはり阿曽と同じだな!同じ様なことを言う!!』
なんで笑ってるのか分からずにいると、男は嬉しそうに笑ったまま私を見た。
『取引成立でいいな。先に情報をやろう。』
取引がいつのまにか成立してしまったけれど、私はどうしても自分のことが知りたかった。
私はじっと彼の言葉をまった。
『貴様の力は“浄化”だ。』
「浄化…?」
『呪いは呪いでしか祓えない。そう思ってる奴が多いがもう一つ、祓う力がある。それが“浄化”。』
私にそんな力が…?
だから、呪霊が消えたの…?
『浄化に必要なのは、血だ。呪力じゃない。阿曽巫女の血。貴様はそれを持っている。ただ、全ての呪いに効くわけではない。』
「じゃあ、誰に…なんの呪いに…?」
『情報はここまでだ。』
腕を組み言う彼に、私は膨れた。
「え、全部教えてくれないの?」
『当たり前だ。それじゃつまらん。』
これは暇つぶしだ。
と、一歩彼は私に近づいた。
『早くせんと、あやつが来る。』
また一歩。
怪しげに笑う男に私は後ろに下がった。
『対価だ、小娘。』
「…っ。だ、唾液っ」
壁まで追い詰められ、私はどうしたらいいのかわからなかった。
手を伸ばされ私は咄嗟に腕で自分を庇う様出したが、それを通り抜け私の眼鏡を取り、放り投げた。