第29章 川品中央総合病院
安室「決めました。
こちらのお店にします♪」
そう言って、今日初めてショップの中に足を踏み入れる。
彼は壁際に備え付けられたラックへ一直線に足を向けて歩き出すと、迷わず1つのハンガーに手を伸ばした。
安室「うん♪
これはどうでしょう?」
椛(えっ??
決断力!!
早っwww)
彼女によく見える様に、ハンガーに掛けられた服を目の高さまで上げる。
彼の手にあるその服は、大振りの白のケミカルレース地が美しい、ストレートラインの膝丈のワンピースだった。
上身頃は元の白地だが、ワンピースの裾に向かって、サンフラワーイエローとビリジャングリーンのムラ染グラデーションが施されていた。
椛(可愛い…
凄い素敵…)
彼の持つワンピースに目を向けていると…
安室「椛さんにとても似合うと思うのですが…」
再度言葉を発した彼を見上げて、暫し見つめる。
そんな彼女の様子に首を少し傾けて、言葉を待つが…
店員「ふふふっ♪
私もお客様にとてもお似合いになると思いますよ。」
2人の様子を静かに後ろから見守っていた店員さんが、控えめに声をかけてきた。
声がかけられた事で、2人は店員さんに目を向ける。
店員「良ければ鏡に当ててみて下さい♪」
3人は大きな鏡の前に移動すると、安室は椛に服を当ててみせた。
鏡に映る椛の姿を見て、満足そうに何度も頷く安室。
安室「僕はとても良いと思いますが♪
椛さんはどうですか?
…好みでは無いですか?」