第40章 立夏の約束事
安室「せっかくなので、その時は泊りで行きましょう。」
椛「良いですね!
温泉付き希望します。」
安室「あはは!
温泉付き良いですね!
ではそうしましょう。」
先の約束を取り付けると、安室は話の趣旨を本筋に戻す。
安室「…男が女性に服を送るのは、
『その服を着せるのも脱がすのも俺がする』
と言う背景の男性心理がありますよ。」
先程まで明るく笑っていたのに…
ワントーン下がった彼の声とその言葉に、彼女の表情が一瞬固まる。
安室「博識な椛さんが、知らいないわけはないと思っていたのですけど…
気づかないふりをしていただけですか?」
彼の方に目を向けてなくても、声だけで、今、彼がどんな表情をしているの予想が付く。
椛(いつも本当…
かき乱しまくっててズルい…)
高鳴り始めた胸の鼓動を落ち着かせる様に、小さく一呼吸すると、仕返しとばかりに落ち着いたトーンで話し始める。
椛「それって送らなくても、
『相手が選んだ』
という所も対象になりますか?」
支払いをしたのは結局彼の方だが、今日の反物を2人で見て、最終的に購入する事を選んだのは彼女の方だ。
ついでに言うと、今日、彼が着ている服も先日、彼女が風見と買い出しに行った時に選んだ服である。