第3章 お前も一緒に来るか?
『と・に・か・く!せっかくのお誘いなら行ってきなさい!國神くんのお友達ならきっと良い人達だろうし!"類友"ってやつよ』
「……そうだね。じゃあ切るね」
『ああ!待って』
「?」
逸崎は下ろしかけていた腕を上げて、携帯をまた耳に当てる。
『今度は充ちゃんが「良かったら今度、夜ご飯食べにおいで」って誘いなよ。國神君が良ければ、うちはいつでも歓迎するからね!』
「……考えておく」
ピッ
今度こそ電話を切って、いつもの調子に戻して國神の方に振り返る。
「大丈夫だって許可もらった。具体的にどこに行く?」
「……」
「?」
じーっ
國神に顔をじっと見つめられて、逸崎は疑問に思う。
「何?」
「……いや、そっちの方がいいなって」
「え?どっち?」
逸崎は左右を見渡すが、意味が分からず首を傾げる。
「……いや、やっぱ何でもね。行くか」
「?」
國神は逸崎を連れて皆と合流した。
向かった場所は最寄駅に近いモールで、町内で一番大きい商業施設であった。
3階建てで各フロアには、生活必需品の他、食料品、衣料品、医療品、美容品など、様々な商品を扱うブランド店が立ち並んでいた。
もちろん、スポーツ用品も充実していた。
國神含めた男子は、スニーカーやタオルなど個人で使う物を中心に見ていた。
次の練習試合に向けてスニーカーを新調したり、愛用しているプロテインの味を変えてみるのも良いかもしれない。
そんな会話をしながら、國神はサッカー部のレギュラーになるための野心を燃やしていた。
(次こそは結果出してえからな。冬休みに入る前には必ず……)
ふと商品から視線を外すと、少し離れたところで女子マネ達が話しているのを見えた。
「!」
逸崎がテーピングや冷却スプレーを手に取って、女子マネ達に話している。
(逸崎…?)
会話は聞こえないが、何か説明しているように見えるが……
「見過ぎじゃね?」
「!」
耳元に囁かれるように言われて、國神は思わず反射的に離れる。
茶化してくるチームメイトが煽ってくる。
「そんなにあのサッカーが上手いミステリアスガールが気になるのかぁ?」
「………そういう呼び方はやめろよ」
「!」