第23章 本音
「あ……っ、ああ、あ…、さ、とる……っ」
名前を呼べば、悟のモノは大きく反応する。
乱れる息が、汗で濡れた髪の毛が、男の色気を更に倍増させる。
私の耳元で小さく息を漏らして、それが鼓膜の奥で響き渡る。
「好き。好きだよ……」
「………っ!!」
麻薬のような中毒性を持った男の砂糖のように甘い声に、泣きそうになる。
どうして、そんな簡単に言えるんだ。
私はまだ、何も言えていないのに……!!
口をパクパクとさせる私の唇に悟の唇が重なる。
「は……っ、ん……んん……、はぁっ、はぁ……、ん………」
角度を変えて何度も何度も深く熱く、お互いにお互いの熱を求める。
涙と鼻水と涎でぐしゃぐしゃなのに、悟は気にすることなく舌を絡めて舌を吸ってそしてまた深く私の口内で暴れる。
「さ、悟……さと、る……」
「……なに?」
「………っ、……、」
言え。
悟の事が好きだって。
自分の気持ち、伝えろ……。
「……き、……す………ぅ、くっ……」
「なに、ちゃんと聞くよ」
「……悟のこと、……………………好き」
長い長い時間をかけて。
私は漸く自分の気持ちを悟にぶつけた。
「……もう一回言って?」
あと数ミリで唇がくっつきそうな距離。
悟がまっすぐに見てくるから、気持ちが溢れてしまう。
ちゃんと悟の顔が見たいのに涙でぼやけてみることができない。
「す、んぅ……はぁっ……」
「ちゃんと言って?」
「だから……っ、私も、ずっと前から……んん、ふっ……、すっ……き、……ひっ、く……っ……好き、悟が、好き……!!」
「うん。……うん。知ってた……」
頬に何かが落ちてきて、ぼやける視界の中、悟を見ると汗か涙か分からない熱い雫をいくつも零れて私に触れる。
悦びにも似た震える声に、くしゃくしゃな顔が更にくしゃくしゃになった。