第23章 本音
――五条悟side――
真希から電話を受けた僕はただ「が大変だから今すぐ来い」としか言われなかった。
だから怪我でもしたのかな、くらいの軽い事しか考えてなくて。
の身体を見た時に、僕の全身が一瞬にして冷たくなったのが分かった。
それと同時にイラつきもした。
何で頼ってくれなかったのかとか、どうして黙っているのかとか。
それは全て僕のせいだとわかってしまって、自分を殺したいと思ったのは初めてかもしれない。
あの日、が助けを求めに来た日、僕は以外の女を抱いていて。
自分の欲を満たそうとしていて。
大切な生徒が、大事な人が、苦しんでいると言うのに。
僕はまた何も気づけずに見放してしまった。
自己嫌悪にもなるでしょ。
謝りたいのに、はそれを許してはくれない。
僕のせいじゃないと言って。
誰がどう見ても僕のせいでしょ、ここまでオマエを追い詰めたのは。
オマエを救える分岐点はあの日だったって、誰でも理解できるのに、オマエは優しいからそう思って欲しくないんだろう。
あくまで自身が招いたことだと言いたいんだ。
シン、とする医務室内には時計の音だけが響く。
時計に目をやると9時はとうの前に過ぎていた。