第1章 復讐
私はその日から心が弾んでいた。
少しの辛抱だ。
10年待ったんだ。
たったあと数ヶ月で兄が全てを終わらせて戻ってくる。
そんなの秒で過ぎるに決まっているじゃないか。
どうしよう。
ケーキでも買おうかな。
ああ、でも兄は甘いものが少し苦手と言っていた。
じゃあ作ろうかな。
シュガーレスのケーキを作って、部屋も飾って兄を出迎えよう。
でもでも、あまり大げさにしても困らせちゃうだけかな。
そしたら部屋の飾りはやめようかな。
どうしようかな。
そう思って。
いろいろ考えて、準備をしていたのに。
12月24日。
いくら待っても兄は家に来なかった。
時計の針が12時をを超えても。
朝を迎えても。
家のインターホンは一度も鳴らなかった。
不安が。
波のように押し寄せてくる。
兄の身に。
何か遭ったのだろうか。
もしかして。
大怪我をして動けないとか。
ご飯も喉を通らないほどに、私はただ兄の帰りを待った。