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【呪術廻戦】新世紀の『I LOVE YOU』

第20章 幸福








みんながみんな幸せになれたら、それはすごく素敵な事でいい事だと思う……けど、ああ、そうか。
七海の言っていることを理解してしまった。

「だから、滅んだのか」
「理解が早いですね」
「頭いいからね、は」

全てが満たされてしまえば、人間という生き物はそこで止まってしまう。
働かなくなってしまう。
働かなければ生産が止まる、生産が止まれば都市機能は停止する。
そのことに対して憂う事も不満に思う事もない。
だってすべてが満たされて幸せだから。
発達もしないまま、文明は止まる。
食欲も性欲もありとあらゆる欲求を失った時、人間は死ぬしかない。
人間が全員死んだら、人類は滅ぶ。

考えたこともなかった。
お腹も減らなくなるほどの幸福なんて。
そんなものが実際あるとは思えないけど、あるんだよ今目の前に。
その"幸福"によって滅んだ文明があるのが何よりの証拠。

「"幸福"は、人々の間に瞬く間に広まり満ちて行き、人々を腑抜けにしてしまいました。そうやって文明は滅んだ」
「でも、封印はできたんだろ。一体誰が……」
「僕の祖先、藤原道真だよ」
「え⁉オマエ、藤原道真の子孫なの⁉」
「知らなかったの?ちなみに憂太も子孫だよ。だから僕とは親戚なんだよね。超遠縁だけど」
「うっそ!!マジで⁉だからあいつあんなもやしなのに特級なの⁉」
「体格は関係ないでしょう……。あと、もう少し静かに」
「あ、はい……」

衝撃の事実に私は思わず叫んでしまった。
ぶっちゃけ、"幸福"が文明を滅ぼしたことよりも驚いたかもしれない。




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