第16章 野球
3番バッターには加茂憲紀。
バットを振らず三振。
「ストライッ!!バッターアウッ!!チェンジ!!」
すげえノリノリだな五条悟。
言い方がそれっぽくてムカつくんだけど。
攻守交代するために一度ベンチへと戻る。
虎杖の防具を外しながら、私は野薔薇に声をかけた。
「野薔薇、かっ飛ばしてこい」
「オッケー。見てなさい。私の実力。東北のマー君とは私の事よ」
「おかか」
「東北のマー君はマー君だろ」
「マー君投手だぞ」
折角野薔薇がやる気を出していると言うのに、この男どもはちゃちゃを入れやがって。
私はスパンと伏黒と虎杖と狗巻棘の頭を叩いた。
頭を抑える3人は私を睨んでいるが、私の眼力に怖気づいたのか何も言わなくなった。
「野薔薇。お前は確かにマー君ではない。だけど、東北ののーちゃんはお前だ」
「……。私、必ず出塁するから」
「信じてる」
抱擁を交わし、私は野薔薇をバッターボックスへと送りだした。
「のーちゃんってなんだよ……」
「野薔薇の愛称だ。持ち上げることで野薔薇の能力は上がる」
「……キャラ変わってねえか、夏油」
これで野薔薇が出塁してくれるなら、あほらしい茶番にだって付き合ってやる。
だから必ず出塁しろよ、野薔薇。