第16章 野球
「お前の術式は、その気になれば空気すらも支配しコントロールすることができる」
「……空気?コントロール?」
「全身全霊で世界を感じろ。世界を読み取れ」
「……なに、言って……」
「今の俺から言えることはそれだけだ。後はオマエ次第」
「………」
「退屈させるなよ。俺はお前にも期待をしている」
東堂はウィンクをすると、虎杖を探す旅へと出かけた。
一人取り残された私は。
東堂の言った言葉を何度も頭の中で繰り返す。
【全身全霊で世界を感じろ。世界を読み取れ】
【その気になれば空気すらも支配しコントロールすることができる】
言っていることの8割が理解できない。
一つ教えるって言っておいて二つ教えてるし。
一体どういうことだ。
逆に、この言葉を理解したら。
私は強くなれると言う事だろうか。
「……世界を、感じる」
私は世界に存在していることを解っていただろうか。
今まで考えたこともなかった。
当り前過ぎて。
当り前だからこそ。
もう一度この頭で考える必要があるのか。
ありがとう。
東堂。
今はまだ、ちゃんとは理解していない。
けれど。
理解、できそうな、気がするよ。