第14章 明日
「……ある程度じゃなくて、もう分かっているんじゃないのか?犯人の居場所」
私の言葉に七海は、息を軽く吐いて腕を組んだ。
あんな風に言ったのは、きっと私と虎杖を巻き込みたくないからだろう。
「………いいえ」
「嘘が下手だな、お前。話を聞いただけだからはっきりとは言えないが、犯人はその気になれば残穢なんて残すことなく現場を離れることができたんじゃないのか。そして今も誘い込まれてる。お前ひとりで乗り込むリスクとガキ2人連れて乗り込むリスク。天秤にかけた時、傾いたのは前者。そうだろう」
「フゥー……。君は随分と頭の回転が速いですね」
「地頭いいからな」
「自分で言いますか、それ」
七海はまたメガネを押し上げる。
七海が私達二人を連れて行かない理由は、きっと私たちがまだ子供で足手まといになりうる可能性が大きいからだろう。
だけどこう見えて私は準一級だ。
足手纏いになんかならないはず。
「私を連れてけ。足手まといにはならない」
「……いえ。貴女は虎杖君のサポートをお願いします」
断固として一人で乗り込む気の七海。
これ以上言っても意味がないなと判断した時、虎杖が勢いよく扉を開けた。
「七海先生ー!!」
その声のでかさに私も七海も驚いて肩を竦める。
お前はもう少しその声のでかさを調節しろと、心の中で呟く。
虎杖は、満面の笑みを浮かべながら、
「気を付けてね」
と、声をかけた。
その後ろから伊地知さんも顔を出していて、困ったように笑ってはいるが、どこか嬉しそうだった。