第3章 受胎
――夏油side――
それから月日が流れ、高専に私は入学した。
その間、五条悟との勝負は未だに勝てずにいる。
というか、その勝負も最近なぜかボードゲームだのカードゲームだのじゃんけんだのが増えてきてる。
私から仕掛ける事が7割だとして後の3割は言わずもがな五条悟なのだが。
アイツから勝負を誘う時は、殺し合いというよりはお遊びに近い。
ついさっきも二人で教室の机を挟んでオセロをしていた、負けた。
その前もババ抜きをした、負けた。
運ゲームの人生ゲームなら勝てると思った、負けた。
「なんなんだよ!!全っ然、勝てねえ!!」
「ってば弱ーい」
「ズルしてるだろ、お前」
「してるワケないじゃーん」
ケラケラ笑う男はゲームすら最強なのか。
どこまでも最強がついてくるってことかよ。
くそっ!!
「で、お願いなんだけど僕の代わりに任務に行ってきてよ」
「またかよ……。お前の任務まじできっちいんだって」
「だぁいじょうぶ。今回は本当に楽だから。3級案件だし」
「嘘だったら殺すからな」
「好きに切り刻んでいいよ」
「そこまで言ってない」
五条悟から、情報の乗った資料を受け取る。
そこは群馬県のとある神社。
水子供養の神社らしく、そこに呪いが溜まっているという。
水子……か。
「……これ、私が行くべき案件か?」
「そう。君に行ってほしい」
「躊躇、してもか」
「しないために、だよ」
なるほど。
私に課せられた試練って事かよ。
こういうのは、女性はあまり気乗りしないだろう。
だから五条悟に回ってきたのか。
それを私に任せるあたり、こいつは本当に鬼だな。