第14章 三毛猫の独白。クロ猫の噛み跡
「えっ、のお父さんって音駒だったのか?」
「夜久ちゃん達も知らんかったっけ?うちの父さんは音駒出身だし元バレー部だよ。」
「へぇー!」
父さんが猫又監督と話してると母がニヤニヤと笑いながら私の元に近付いてきた。なになに、怖い。親なのに怖い。
「んで、テツローくんとはどうなのよ。そろそろ付き合った?」
「そろそろも何もそんな予定無い言うてるやん。」
「ハアー?2人で住んどるのにまだなんも無いんかい!」
「オジョーさんのガードが固すぎるんですよねェ。」
「私は子供出来ました!って報告ずっと待ってんねんけどなー。」
「いや未成年やっちゅうねん。アホか!」
「アッハッハッハ!せやったな!まぁ私らまだ東京戻るまで全然掛かりそうやからな、これからもの事頼むでテツローくん!」
「もちろんデース。なんせお母サマから任された大事な娘さんですし?」
「おい寄るな暑い。」
クロは私の肩に腕を回すとグッと引き寄せて来た。にやにやと笑ったクロの、視線の先には夜久ちゃんが居てあぁ、挑発してんなっていうのが直ぐにわかった。もちろん夜久ちゃんもそれに気付いたようで、ぴしりと青筋を立てるや否や私の手を掴んで引っ張る。予想外の所から身体が引かれ目を見開くと後ろから両肩をがっちり掴まれた。
「俺、同じクラスの夜久衛輔っす。俺もさんの事狙ってるんでよろしくお願いします。」
「夜久ちゃん!?」
「はァァァ!?」
「へ?………ぶっ、あっははは!なんや君おもろいなぁ!あんためっちゃ青春しとるやん、心配してソンしたわー。」
フフン、と鼻を鳴らして夜久ちゃんは両手を腰に手をあてて仁王立ちするとどうだとばかりにクロを見る。苦虫を噛み潰したように顔を顰めるクロ。爆笑する自分の親。びっくりしてる後輩たちと、にこにこしてる海くん。カオスかよ。……ん、アレ?
「そういえば、ケンマくんは来とらんの?バレー辞めたん?」
「うわあ本当だよ!クロ!研磨居ない!!ウチの脳が!」
「もーアイツは全く!スマホ見ながら歩いてたし、はぐれたな!」
「探しに行くで!母さん悪いけど食材冷蔵庫入れといてや!夜久ちゃん達も手伝ったって!行くよクロ!」