第10章 あなたのためなら
少し冗談めかした様子でミーウが言った。
「でも……よかった」
ー変な悪魔の実じゃなくて……。
ーーミーウはこの悪魔の実が、後々キッドの役に立つことを能力を見て察した。
ふと、ミーウが男たちの方を見ると、誰1人として立っている者はいなかった。
「……倒しちゃったね」
ミーウはクスッと笑って、キッドにバレないようにそっと能力を発動させた。
「……氷刀……硬化」
ミーウは手を氷にして、“武装色”の覇気で固くさせた。そして、2人が結ばれていた鎖を斬った。
「あれ? チェーンが……」
キッドは驚いた。
「これもキッドの悪魔の実の能力……かな?」
ミーウはバレないように手を元に戻して、スッと立ち上がった。
「そんなことより……早くこの船から脱出しないと……」
「そんなことさせねェぞ」
ハッとして、ミーウとキッドは後ろを振り返った。
「勝手なことしやがって……悪魔の実なんか、敵に食わせるからこうなるんだ」
チッと舌打ちをしながら、アルファが2人に近付いて来た。ーー先程会った時と雰囲気がだいぶ違う。
「……覚悟はできてんだろうな?」
アルファはミーウとキッドを静かに睨んだ。
「おれの船で暴れて……おれの船員たちを不本意とは言え、倒したんだ。殺される覚悟ができてんだろうな?」
ミーウとキッドは構えた。ーー相手は海賊で懸賞金をかけられている奴だ。逃げるだけじゃ……殺される。