第10章 あなたのためなら
「……」
殺すとまではいかなくても、その様子は随分酷い有様だった。
(これ……)
「おれがやってるのか……?」
キッドが目を点にして、部下たちの様子を見ていた。
「……そうよ」
ミーウは静かにキッドに言った。
「……無意識に発動されているのを見ると、あまり制御できてないみたいね……」
ミーウはため息をついた。
「それにわたしとくっついていられるっていうことは……自然系ではないのね」
残念とでもいうような様子にキッドは少し苛立った。
「……自然系じゃなくて悪かったな」
キッドはプイッと横を向いて拗ねた。
「それに動物にならないってことは動物系ではないわね」
ミーウは笑った。
「動物系じゃなくてよかった」
ホッとしたようにミーウは言った。
「……動物系を食べて暴れられたら、わたしが危ないもんね」
少し冗談っぽく言ったが、それはキッドをキレさせるにはもってこいの言葉だった。
「そういうことかよ! おれが動物になってほしくなかったとか、そういう理由じゃねェのかよ!」
キッドがキレたことで男たちに対する攻撃が一層激しくなった。
「動物系は後々、コントロールができるようになれば、味方にとってとても有利に働くことがあるわ。でも、最初食べたばかりの時はまだコントロールが十分にできないから、味方に攻撃してしまうこともある……。そんなことされたら、わたしが危ないじゃない?」