第31章 愛する人の為、、、 太宰治、織田作之助
気絶しているの頭をそっと撫でる太宰。
太宰「、、、愛してる。こんな愛し方ですまない」
太宰はを愛していた。
に告白された時、太宰はあまりに滑稽な告白をする彼女に笑いが止まらなかった。
心の底から笑った。
彼女となら生きて行ける、、、そんな気がしたのだ。
と過ごす日々は幸せだった。
ずっとこの幸せが続いて欲しい、そう願っていた。
ところが、彼女と過ごしていく中でへ執着する自分が恐ろしくなったのだ。
いつか彼女を殺してしまうのではないかと、、、
そんな恐怖が太宰を襲ったのだ。
だから、に嫌われようと彼女に最低なことをしたのだ。
然し、はそんな太宰でさえも受け止めてくれた。
早く嫌いになってくれ、、、そう何度も願った。
ところがあの日、織田作と話しているを見て嫉妬したのだ。
やっと嫌いになってくれたのに、あの日から頭の中ではのことばかりだった。
に呼び出された時は覚悟していた、受け止めようとも何度もした。
でも彼女を目の前にした途端、失いたくなかった。
そこからは本能のままにを抱いた。
の頬には涙の跡がくっきりと残っていた。
そっと涙の跡に口付けをし、太宰は部屋を立ち去ったのであった。