第7章 穢れた血に壁の文字【秘密の部屋】
「なんだって?」
その声に私はギョッとして肩を跳ねさせた。
だけどロックハートはハリーの大声は、自分の自慢話に驚いたと思っていたらしい。
「驚いたろう!6ヶ月連続ベストセラー入り!新記録です!」
「そうじゃなくて、あの声!」
「え?どの声?」
「ハリー?どうしたっていうの?」
私にはロックハートの声しか聞こえなかったけれどと思っていれば、ハリーは私の肩を掴んだ。
「アリアネ、聞こえなかったかい!?」
「な、何が?」
「あれだよ、いまのあの声、聞こえなかったんですか?2人とも」
私とロックハートは思わず顔を見合わせた。
2人とも聞こえていなくて、唖然としながらハリーの顔を見上げる。
「ハリー、いったい何のことかね?少しとろとろしてきたんじゃないのかい?おやまぁ、こんな時間だ、4時間近くここにいたのか!信じられませんね。矢のように時間が経ちましたね?」
ロックハートは私たちを解放してくれた。
そしてグリフィンドールの寮に戻る最中、私はハリーへと聞く。
「さっきのどうしたの?急に叫んで」
「……声が聞こえたんだ。『来るんだ、引き裂いてやる、八つ裂きしてやる』っていう声が。アリアネは聞こえなかった?」
「聞こえなかったわ……。でも、なんでそんな声がハリーにだけ聞こえたのかしら」
私は顎を擦りながら考えるけれども、理由は分からずに2人で神妙な顔をしながらグリフィンドールの談話室に戻った。
そしてハリーと別れを告げてから、私は螺旋階段を上がってから寝室へと向かう。
疲れた、手が痛い。
そう思いながら上がっていけば、寝室の隣に備え付けられているテーブルではハーマイオニーが勉強をしていた。
「ただいま、ハーマイオニー」
「あら、おかえりなさい。疲れきった顔をしているわね」
「疲れたわよ……」
私はネグリジェに着替えるとベッドにダイブした。
「手紙書こうとしたけれど、今日はやめておくわ……」
「そうしなさい。手紙は、ウィーズリー家に?」
「ううん。名付け親によ」
「そういえば、貴方の名付け親の人はどんな人なの?」
ハーマイオニーの質問に私は微笑んだ。
「とても優しい人よ。人に優しくて思いやりもあって、でも自分のことを大切にしない人」
「そうなのね」
「だから心配なのよ……自分を大切にしないから」
だから早くあの人と会いたい……。
