第6章 不穏なネザー
パリン!
MENがネザーゲートをくぐると、不吉な音がした。
MENは一瞬にして何が起きたか勘づいたが何も言わず、とりあえずネザーゲートから離れてさっきの音の理由が判明した。
最初に作ったネザーゲートから位置が少しズレている。
そのおかげでネザーゲートは玄武岩デルタと荒野の境目に生成され直されていたが、最初のネザーゲートが壊れた理由は一旦オーバーワールドに戻った時にチラ見えしていた黄色い何かがそこに居座っていたからだ。
「なんでこんなところに……」
ピラミッドがあるのか──。
玄武岩デルタの地形を上塗りするように生成されているピラミッド。近くには壊されたネザーゲートがあり、そのピラミッドの生成で新たなゲートが出来たのだと推測された。
「とりあえず中身は普通なのか……?」
とMENは軽々とピラミッドに乗り込み、ブロックを破壊して中に侵入する。一部玄武岩が張り出していたが、中身はよく見るピラミッドで、蜘蛛の目やら糸やら火薬ばかりが入っていて役に立つようなものはなかったのだが。
TNTもしっかり持ち物に入れて。
「よし、行くかぁ」
時間はない。何かしら要塞が見えたらいいのだが、と辺りの地形へ走り出した時にそろそろアレのゲージが迫ってきていた。MENはそのことを忘れていなかった。
そこら辺のネザーラックの壁を掘り、作業台を置くと素早くチェストを作った。そこにツールなどを入れた瞬間、ゲージがゼロになった。
「よっしゃあ、来い!」
MENは覚悟を決めたようにネザー荒野へ飛び出した。
現れたのは、白虎たいたいだった。
「こいつか!」
これは楽勝だと、MENはチェストを隠した壁とは反対方向に走りながら三人称視点に切り替える。白虎たいたいは攻撃前の予備動作に少し下がる仕様のようだ。ただ、攻撃を食らうとかなり痛い。
「いってぇ!」
持っていかれたのはハート半分。もう一度攻撃を受けたら死んでしまうことは避けられないだろう。
「俺は今失うものはないんだよぉ!」
とMENは言うなりくるりと方向転換して白虎たいたいに立ち向かい、素手で殴りかかった。
わずかだが、当たった感触。
同時に反撃を受けてもれなくMENは倒れたが、気づいたこともあった。
「もしかして、倒せるのでは……?」