第3章 日+英中/甘 Tea time struggle.
「このデータを見るよろし! カロリーハーフの砂糖、低脂肪乳、ともに普通の砂糖、牛乳と比べて味が落ちている――つまり“まずい”という統計があるあへん!」
「なん……だと……!?」
「つまりお前は“まずく”しなければ、その甘い液体を提供できないということあへん!」
「い、いやそんなことはねぇ! そんなこと……は……っ!」
「大体健康面で張り合うとか冗談はその眉毛だけにしろあへん。こちとら元来薬として飲まれてきたものあへん。薬にもなる美味な茶と、おめーの中途半端な茶、今菊やにどちらが必要か、言わなくてもわかるあるよな?」
「くっ……!」
“まずい”を強調した耀の言葉に、アーサーは結構なダメージを受けているようだ。
耀が勝ち誇るように口の端をつり上げる。
「さぁ、悪足掻きはそろそろやめるよろし。今ならそのいかれた味覚を脳から直してやる龍井茶を飲ませてやるあへん!」
耀さんが楽しそうでなによりです。
見かねた菊が二人を諫めようとすると、
「あ、あの、話が見えな――」
「こ……こうなったら多数決を取ろうじゃねぇか! それで文句ねぇだろ?」
「ハッ! 結果は見えてるあへん、おめーこそ2―0で泣きを見ても知らねぇあへん」
多数決っておい、私と菊しかいないし、なにより偶数なのに何を言ってるんだ。
だめだ……熱くなりすぎて、本人たちも何を言ってるのかわかっていないのかも。
どうしようか菊と途方に暮れていると、二人がバッとこちらを向き
「「さあ、どっちだ(ある)!?」」
凄まじい形相で脅迫――返答を求めてくる。
耀の緑茶を飲むか、アーサーのミルクティーを飲むか、どちらか決めろということなのだろう。
空気で理解した私たちは、困り果てた。
菊に至っては視線があらぬ方角を向き、遠い目をしている。
私と菊は――