第1章 祭りの夜
「桃弥、まさか親子喧嘩をしに帰って来たわけじゃないよね?」
「ほら、結局あなたは自分さえ良ければいいんですよ。そんなにを他の男に取られたく無いのですか」
「あぁ、あの!桃弥さんもせっかく帰って来たんですから、まずお家に上がりませんか!?」
このままだと本当に親子喧嘩に発展しそうだったので、無理矢理二人の間に入る。
渋々ながら玄関を上がる桃弥さんの腕を、杏壱さんがぐっと掴んだ。
「まぁ、が私にとって一番大切なのは当たっているよ。……桃弥、お前に話があるから少し私の部屋に来なさい」
「き、杏壱さん!?桃弥さん、今来たばかりなのに……」
「大丈夫。心配しなくても怒ったりしないから」
「ですが………」
私の制しも虚しく、杏弥さんは桃弥さんを連れて奥の部屋へと入っていってしまった。
夫である杏壱さんを、今まで一度も疑ったことはない。
───今日、この時までは