【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第17章 異榻同夢②※
校内に響き渡る夜蛾の号令。
仁美は窓からその光景を見て目を細める。
やっと望んでいた未来の始まりが起ころうとしていた。
「珍しいな。」
高専の正面ロータリーで『ソレ』を目視し出来た真希が呟いた。
空を仰ぐ様にだんだん大きくなってくる物体を確認しながら、パンダと棘が頷いた。
「優太の勘が当たった。」
「しゃけ。」
彼らに遅れて付いて来た憂太が、皆んなが見ている空を見上げた。
ー鳥。
動く動作はまさに鳥の様なのに、その胴体は随分と大きかった。
その生き物がバサバサを羽音を大きく響かせて、憂太達の前に舞い降りて来た。
ペリカンの様に見えるその胴体は明らかに動物園で見るソレとは違い、呪力を纏っていた。
ー式神?いやアレは……呪霊だ。
そしてその傍に漆黒の法衣に身を包んだ。
夏油傑ー。
悟達が察知したのはその呪霊の呪力では無くて、夏油傑ー。
その者の呪力だ。
呪術界最悪の呪詛師は大胆にも白昼堂々と呪術高専の敷地内に降りたったのだった。
「関係者じゃ…ねぇよな。」
真希が呪具の刀の包みを解いた。
「見ない呪いだしな。」
パンダは手にグローブをはめる。
「すじこ。」
棘はネットウォーマーをずらして、身ずらの呪印を曝け出した。
あきらきに交戦を見せてる彼らを前に、緊張感の無い憂太の声が響いた。
「わー、でっかい鳥…。」
「「「…………。」」」
これは後で説教だ。
憂太だけが事態を飲み込めずまだボケッとしていた。
いや、他のメンバーが傑をどういう人間だと理解している訳では無い。
だが、ここは高専内だ。
見知らぬ者がこんな大きな呪霊を連れて入って来る事が非常事態なのだ。