【呪術廻戦】五条悟から逃げたいので呪詛師目指します【R18】
第17章 異榻同夢②※
そんな憂太達を窓際から見下ろしていたのは、夜蛾と悟だった。
一年生達のその光景を見たまま、2人は話し出した。
「……未だ夏油の動向は掴めん。…やはりお前の杞憂じゃないか?」
「学長。残念ながらそれはあり得ないです。直接現場を確認しました。」
「…………。」
悟の言葉に考え込む夜蛾に続けて悟は諭した。
「僕が傑の残穢を、間違えるはずないでしょ。」
商店街の事件から、悟は傑が関与している事を上に伝え続けた。
そこに仁美の報告をしなかったのは悟の完全な私情だった。
それでもこの数ヶ月。
仁美に興味が無いふりをしてもそこだけはずっと見ていた。
『もう2度と傑には会わないから。』
そう仁美が言った以降、悟の近くに居る間は仁美に目立って不可解な動きは無かった。
悟の結論では仁美と傑は連絡を取り合っていない。
その事実が何か悟を慰めるものでは無かったが、何を考えているか分からない仁美を考えるのに重要な指標にはなっていた。
だけど悟が何かあると言い切るのも相手が夏油傑だからだ。
「………傑………。」
夜蛾がまるで高専時代の様な呟きで傑の名前を呼んだ。
悟が生徒を名前で呼ぶのは、少なからず、夜蛾の影響を開けているはずだ。
そんな感傷に浸る暇も無く、悟は何かを察した様に顔を上げた。
悟から遅れて、夜蛾も『ソレ』を確認する。
「ガッデム!噂をすればだ!」
急に慌ただしく動く夜蛾。
その叫びは悟の杞憂が現実になったからだ。
「校内の準一級以上の術師を正面ロータリーに集まろ!」
夜蛾の指示に校内が騒めき出す。
準一級以上。
その指示が事態の重さを知らせる。