第1章 二人の出会い〜浅岡さん?〜
だから、これからは何を生きがいに仕事を頑張ったら良いのか分からなくなった。
しばらく仕事する気になれず、2週間、会社を休んだ。
FIELD OF VIEWの解散は、それ程、私にはショックな出来事だった。
なかなか気持ちの整理が付かなくて、ずっと床に伏せていた。
1週間前、何とか気持ちを切り替える事が出来た。
重い身体を起こし、1階に降りて、まだ誰も起きて来て居ないリビングへと向かい歯磨きをして顔を洗う。
私は浅岡さんを諦めた訳じゃない。
私は本気で浅岡さんが好き。
ただのファンじゃない、愛してる。
浅岡さんの為なら何でも出来る。
だから、絶対、探し出して自分からアプローチする。
そう決めたから気持ちが楽になった。
だから仕事に復帰する気持ちにもなれた。
浅岡さんの目撃情報とか沢山調べて集めた。
沢山のファン友にも協力してもらってる。
その甲斐があって色々な情報が来てる。
歯磨きが終わり、キッチンで仕事に持って行くお弁当を作る。
卵焼きを焼き、ミートボール、唐揚げを作り、ブロッコリーとプチトマトを入れて彩りを良く見せる。
朝ご飯を作り、コーヒーを入れて、テレビを見ながら食べる。
これが私の仕事がある時のルーティンだった。
あっ、そう言えば、今日、新しい課長が来るって部長が言ってたなぁ。
どんな人なんだろ?
良い人だったら良いなぁ。
食べながら、そんな事をボンヤリ考えてた。
あっ、そろそろ出る準備しなきゃ。
食べ終わったお皿を片付けて2階で服を着替えてメイクをした。
「行ってきます」
まだ誰も居ない玄関で小声で呟いて家を出た。