第4章 *File.4*降谷 零*(R18)
「もし雪乃と松田がそういう関係になったとしたら、隠し通せないのは雪乃ではなく、松田の方だろ」
「ひ、否定出来ない」
「確かに」
「話を聞かなければ、俺は一生知らずに分からずにいたよ」
「オレも雪乃も、ダテに公安してないからな」
だからこそ、今まで隠し通せた。
「で。何時までひっついているつもりだ。二人共、いい加減離れろ」
ゆらりと負のオーラを纏い、鋭い目付きで睨み付けられた。
「「あー、ごめん」」
「ったく」
「ずっと知らずにいた方がよかった?」
「いや、聞いてよかったよ」
「嫉妬に駆られるお前を見たかった。いや、これから見られるか」
「ヒロお前、雪乃に一体何をするつもりだ!」
「さあね?」
でも今は、心からの祝福を。
「ふふ」
雪乃にウインクして見せると、オレの心境を悟ったかのように、可愛らしい笑みを返してくれた。
二人が寄り添って、笑っている。
うん。
それでいい。
「じゃあ、また」
「ヒロ。有難う」
「こちらこそ」
心からの感謝の言葉を受け取り、階段を下りる。
ゼロは複雑な表情を隠さずにいたけれど、そこは何も気付かぬフリをした。