第9章 リアル無人島サバイバル「ぼんおら」9
「ゲームでも、無人島暮らししましたよね」
「あ〜、あったねぇ」
「でも、真っ先に僕たち死んじゃったじゃないですか」
「ははっ、あれはびっくりしたよ」
まさかおらふくんが死んじゃうと思わなくてさ、とぼんさんが呟く。
「僕たち、今度は脱出出来ますよね?」
おらふくんがぽつんと言った。それは、彼らの影がどんどんと伸びる中、妙に深く響いた気がした。
「蜘蛛の巣が見つかればね」
こんな時のぼんさんの頭の回転は、時に周りの空気を和やかにさせてくれる。しんみりとしたおらふくんの心を明るくしたようで、笑顔を引き出した。
「あはは、おんりーが見つけてくれますよね」
そんなこともあったな。おんりーは彼らの会話を聞きながら、あの時のゲームの思い出を脳裏に描いた。
「ぼんさん、ちょっと眠くなっちゃいました」
「ええ、大丈夫? おらふくん……」
確かに、おんりー馬に乗ってるだけでも疲れるよな、とぼんさんが言っていると、おらふくんの体がカクリと揺れた。
「……おらふくん?」
「すぅ……」
おらふくんは頭をぼんさんの肩に乗せてすっかり寝てしまったようだ。これはファンたちが騒ぐ。ドズルさんに頼んだら、ここのシーンはカットしてくれないだろうか。
ぼんさんはというと、おらふくんを起こさないように参ったな、と小さく呟きながら、突然こんなことを言い出した。
「こんな時ひょっこり、ドズさんが船で迎えに来てくれたりしてな」
その直後だ。
ブオーーーー!
「えっ?」
ぼんさんは一瞬驚き、それから隣のおらふくんを揺さぶった。
「ね、おらふくん、起きて起きて」
「え……?」
「ほら、船がこっちに来てるんだ!」
「あ、ほんとだ!」おらふくんは立ち上がった。「お〜い、こっちやで〜!」
おらふくんに続き、ぼんさんも大きく両手を振った。一隻の船が、無人島に近づいていたからだ。
やっとこれでこの企画は終わるのか、とおんりーも胸を撫で下ろす気持ちでいると、船の前方から誰かが手を振り返してきた。
「ドズルさんだ!」
眠気もどこかに吹き飛ばしたおらふくんが、嬉しそうに声を挙げた。