第54章 放心
「食わせてやるから口を開けろ。」
『え!?い、いいよ!自分で食べれるから!
私病人じゃないし!!』
「熱があるんだから病人と変わらないだろう。」
『っ、そうだけど…』
「早く食わないと冷める、照れてないで食え、馬鹿。」
スプーンを口元に差し出して来られると
もう拒否することは出来なくなってしまい
私は恥ずかしい気持ちを押し殺して口を開けた。
『ん…!美味しい!!』
口に入れた瞬間に生姜の味が広がり
体の芯が温まる感じがした。
「たくさん食べて早く良くなれよ。」
『うん!ありがとう。』
赤井さんは全てのお粥を私に食べさせてくれて
お腹が膨れ、満足したところで私は再びベットに横になった。
『そういえば赤井さん、今日仕事は…』
「お前はそんなこと気にするな。」
…本当に優しいなぁ、赤井さん。
急ぎの仕事はないのかもしれないけど
忙しいはずなのに私の事を優先してくれて…
横になっている私の頭を撫でる手つきから
大事にされてるって気持ちが伝わってくる。
「今のうちに沢山休んでおけ。
明日の朝までずっとここにいてやるから。」
『ありがとう…明日には良くなる…はずだから…』
満腹になった事で再び睡魔が襲ってきて
私はウトウトとしてきてしまっていた。
「…おやすみ、美緒。」
額にちゅっ、とキスをされた感覚がした後
私は幸せな気分のまま眠りについた。