• テキストサイズ

《赤井夢》Happiness{R18}

第54章 放心


side 赤井





「…おい、美緒。」

『…。』

「美緒、焦げてるぞ?」

『え……うわぁぁ!ごめん!!』




工藤邸に来た仕事終わりの美緒は
ずっとこのような感じでぼーっとしている。


夕食を作っている時もそれは変わらず
近くでその様子を見ていたら焦げた匂いがしてきた為、声をかけたんだが……今までこいつが料理中にぼんやりする事など無かったから、何かあったんだとすぐに悟った。





「どうしたんだ?お前様子が変だぞ?」

『っ、ううん、なんでもない…
それよりごめんね?お肉少し焦げちゃった…』

「それは別に構わんが…」





何か悩んでるなら話して欲しいと言いたいが
『何でもない』と言われてしまい、それ以上は何も聞けなくなってしまった。


考えられるとすれば
先週美緒がポアロで安室くんと会った時に
何か起こったのかもしれない…。



だが美緒は俺に心配をかけさせまいと
黙っているんだろう。


本当は無理矢理にでも吐かせたいところだが
美緒は普段通り俺に対して笑ってくれている。
だからあまり無理強いするのは良くないと思い

あえて何も聞かず、料理を再開している美緒を見つめた。





『ふぅ…なんとかできた…!!』

「…ん、美味そうだな。」



ぼんやりとはしているが
落ち込んでいるわけではなさそうだ。


問題が解決したら
美緒は自分から俺に話してくれるはずだ…


以前のように嫉妬に狂って
こいつを傷つけたくないという気持ちが強く
今回は黙って見守る事に決めた。





『あの…赤井さん?』

「ん?」

『どうして…何も聞かないの?
赤井さんの前で私が料理を失敗するのなんて初めてなのに…
不思議に思わないの…?』

「…思ってる。お前は本当に分かりやすいからな。」

『…だよね。』

「だが俺は…お前のことを信じてるから…
美緒が話してくれるまでどれだけでも待っててやる。」



俺の言葉に美緒は嬉しそうに顔を綻ばせていて
いつもと変わらないその可愛い顔が見れるなら
どれだけ時間がかかっても待てる…改めてそう思った。








/ 762ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp