第51章 欲求 ✴︎
「それより美緒、
いつになったら敬語を外すんだ?」
『へっ…?い、いいじゃないですかこのままで…』
「敬語で話されると壁を感じる。
俺達は恋人同士だろう?」
『でも…赤井さんにタメ口なんて恐れ多いと言うか…』
「いいからもう敬語はやめろ、決まりだ。」
いやいや横暴すぎません…!?
私にも心の準備が必要なんですけど!?
『歳下の女にタメ口で話されて嫌じゃないんですか…?』
「前世では30歳だったんだろう?
俺とそんなに変わらないじゃないか。」
『っ、今はまだ25歳です!!』
「分かった分かった。ほら、練習してみろ。」
えー…本当に外さないとだめなの…?
『……赤井さん…好き。』
「っ……マズい、結構クるな…」
赤井さんは仰向けに体勢を変えて
自分の目に手を当ててため息をついていた。
…自分で言ったくせになんで赤井さんが困ってるの!?
「お前と過ごしていると
次から次へと欲が出てくるんだ…
敬語をやめて欲しいのも単なる俺の我儘だな。」
『欲、って…他にはどんな…?』
「そうだな…
美緒が他の男達の目に映らないように
ずっと家に閉じ込めて監禁したいと思った事や
俺以外に笑いかけて欲しくないと思った事もある。
お前の手料理も、出来れば誰にも食べさせて欲しくないくらいだ。」
赤井さん…そんなこと思ってたの!?
でも…
かなり独占欲強めの発言にも関わらず
私はそれを嬉しい、と思ってしまった…
「こんな考えが思い浮かぶなんて自分でも驚いている…
引いてもらっても構わない。」
『引かないです、…じゃなくて、引かないよ?
赤井さんがそんな風に思っててくれて…
引くどころかすごく嬉しい。』
見た目はクールでダンディーですごくかっこいいのに
そんな人が私に対して沢山の愛情表現をしてくれて
嬉しい以外の言葉が見つからない。