第50章 同行
『ご、ごめん…
私この事件のこと全く知らないの…』
「じゃあ知ってるのは
本当にバスジャック事件のことだけなの?」
…そんな呆れたような目で見ないでよ。
私だって前世で漫画読んでおけばよかったって
いつも後悔しているんだから…
そしたらもっと事件のことや組織のことで
役に立てたはずなんだけどね…
『えーっと…私は知り合いの人に
赤井さんを推されてただけだから…』
「…はは、よかったね赤井さん。」
「ふっ、まぁな。…それよりボウヤ
何か聞きたいことでもあるのか?」
「あ、うん……この事件って何かあるの?」
ん…?
何かって…どう言う意味?
「ボウヤももう気付いているだろ?
17年前…羽田浩司が殺された事件と今回の事件、
……酷似しているんだよ。」
『!!それって…
この前工藤邸で私に少し話してくれた事件ですよね?』
「ああ。あの事件が俺をFBIに駆り立てたんだ…。」
駆り立てたって……
赤井さんがFBIになったキッカケってこと…?
「じゃあ…17年前の事件に赤井さんは関わってたの?」
「いや、直接関わっていたのは俺の父だ。」
「赤井さんのお父さんもFBI捜査官だったとか…?」
「FBIではないが…父のことを話すのなら
ボウヤの正体も聞かせて欲しいところだ。」
「!?あ、いや…それは全てが解決してから…」
「ふっ、そうか。」
『…。』
江戸川くんにそんな風に聞くって事は
赤井さん、絶対工藤新一くんであることに気付いてるよね…?
子供相手にそんな言い方するなんて
赤井さんはやっぱり意地悪だ……
江戸川くんめっちゃ苦笑いしてるじゃん。
私達の話がちょうど終わったところで
1人の男性が離れの入り口にやって来て声を荒げていた。
「おいおいどーなってんだ!?
傷の手当てが済んだら家に帰してくれるんじゃなかったのか?」
高「あ、いや…まだ聞きたい事がありますので…」
高木刑事がその男性を宥めている様子を見たら
この人が第一発見者の仙波さんである事が分かった。