第50章 同行
『…よし!完成〜!』
現在私は工藤邸のキッチンで昼ご飯用の肉じゃがを作っていた。
以前ポアロで安室さんに作って食べてもらった事を話したら、赤井さんも食べたいと言い出して…
赤井さんも肉じゃがが好きなのか尋ねたら
「私が作った料理を安室さんだけに食べさせるのはいい気がしない」と真顔で言われて
今回こうして作らされたというわけだ。
そう話していた時のムスッとした顔の赤井さんを思い出して、1人でニヤけながらお鍋を眺めていると
書斎で仕事をしていたはずの赤井さん(昴さん)と
朝から赤井さんに呼ばれて工藤邸に来ていたキャメルさんがキッチンに入ってきた。
「いい匂いだな、もう出来たのか?」
『はい!たくさん作ったので残りは明日にでも…』
「いや、今から阿笠博士の家へお裾分けに行くぞ。」
…今から!?
『それは構いませんけど…なんで急に?』
「博士の家に行く理由が欲しいんでな。」
…なんかよく分からないけど、何かあったって事だよね。
すぐに向かうと言われたので
別のお鍋に出来立ての肉じゃがを移し替えていると
赤井さんはお箸を手に取り、一口つまみ食いをしていた。
「ん、美味いぞ。」
『よかった〜!私留守番してますから
帰ってきたら一緒に食べましょうね!』
「留守番はキャメルに任せて、美緒も一緒に行くぞ。」
『っ、え!?私も!?』
「お前が一緒に来てくれた方が
あの茶髪の子に警戒されないからな。」
…まだ灰原さんに警戒されてるんだ赤井さん。
まあでも仕方ないか…
赤井さんって灰原さんのお姉さんの明美さんと恋人だったし
例の組織に潜入してたから、雰囲気とかで正体バレちゃうかもしれないもんね…
私は赤井さんの言う通りにすることにして
肉じゃがのお鍋を持ち、玄関に向かい
見送りをしてくれるキャメルさんに顔を向けた。
『あ、キャメルさん。キッチンにある肉じゃが、
お腹が空いたら是非食べてくださいね。』
「はい!ありがとうございます!」
「…俺の分はちゃんと残しておけよ?」
…なんだか赤井さん、子供みたいなこと言ってるなぁ。
キャメルさんもそう思ってるのかすごく苦笑いだった。