第46章 心痛
「…これくらいで大丈夫か?」
『はい!すごくいい感じです。
後はこれを弱火で1時間煮込みます。』
ただいま工藤邸で、赤井さんと料理教室の真っ最中。
先日私が作ったコンソメスープの作り方を伝授しているところ。
「思ってたより大変な調理だな。
お前はこれを1人でやっていたのか…」
『大変な分、美味しくできると嬉しいんですよ。
それに…赤井さんが喜んでくれるところを見たいので…』
「っ、またお前はそういう事を……」
私の言葉に赤井さんは照れてしまったようで
顔に手を当てて困った表情をしていた。
『ふふっ、照れてるんですか?』
「…誰のせいだと思ってる。」
普段はとてもクールでカッコいい赤井さんは
照れている表情だと少し可愛いなって思う。
こういうのをギャップに萌えると言うんだろうな…
そしてスープを煮込んでいる間
私は外出するために自分の鞄と封筒を手に取った。
『じゃあ、ジョディさんにこの書類渡しに行って来ますね!』
「悪いな。本当は俺が行ければよかったんだが…」
『変声機が故障してるなら仕方ないですよ。』
その書類は詳しくは聞いてないけど
ジョディさんから頼まれたお仕事の書類のようで…
彼女も仕事が忙しく、工藤邸に取りに来るのは難しいから
私がお使いを頼まれたというわけだ。
それに赤井さんの車は今、修理に出しているから
送ってもらうこともできないので、今回は私が1人で届けることになった。
「場所は聞いているよな?」
『はい!杯戸町にあるホテルですよね?
ジョディさんからメールで教えてもらいました。』
玄関で靴を履きながら場所の確認をし、私は玄関の扉を開けた。
「転ばないように気をつけろよ?」
『っ、もう!子供じゃないですから!』
私を揶揄いながら見送る赤井さんにムッとした顔を向けてから、玄関を出てバス停に向かって歩いた。