第40章 恋慕 ✴︎
side 赤井
美緒を激しく抱き終えた後、
アイツは汗をかいた体を洗い流すために寝室を出て再び風呂場に向かった。
髪も濡れたままだったし
あのまま寝ていたら確実に風邪を引くだろうから俺は黙って美緒を見送った。
時刻は夜11時過ぎ…
一杯だけ酒を飲もうと思いキッチンに向かった。
そしてテーブルの上に置いていたスマホを取り、電話をかけた。
プルルー…
「もしもし?赤井さん?」
「夜遅くにすまんなボウヤ。」
「ううん、起きてたから大丈夫だけど…どうしたの?」
「安室くんとの電話をボウヤも聞いていただろう。
美緒を狙っていた犯人を捕まえたから
一応その報告だ。」
ボウヤには学校で美緒のことを見守っていてもらったし
その礼も一緒に伝えた。
「安室くんにも伝えておいてくれ。
美緒のことを心配していたようだからな。」
「分かった。でも赤井さん、大丈夫なの?」
「…何がだ?」
「安室さんが先生を心配しているときの顔
今までに一度も見た事ないくらい真剣だったから…
たぶん本気で若山先生のこと…」
「だとしても、俺は彼に美緒を譲らない。
…夜遅くにすまなかったな。」
電話を切り終えてからすぐ扉の開く音が聞こえ、
美緒がキッチンに入ってきた。
『あ…電話の邪魔しちゃいました?』
「いや、もう終わった…それより体は大丈夫か?」
俺の一言で、美緒はさっきの情事を思い出したのか
頬が一気に赤く染まっていた。
『大丈夫です…
全身赤井さんで埋め尽くされたみたいで…幸せですから。』
…美緒の言葉は本当にいつも心臓に悪い。
笑顔でそんな事を言われたら、また抱きたくなるだろう…
でもこいつはきっとただ思った事を口にしていて、
俺がそんな事を考えているなんて微塵も思っちゃいないはずだ。