第31章 由縁
「で?どうなんですか?」
『…嘘つきには教えません。秘密です。』
「ははっ、まぁいいですよ。
本当に聞きたいのは別の事です。」
何でそんな嘘をつく必要があるんだろう…
この人の考えてる事はいつも分からない。
「美緒さんは昔
アメリカにホームステイした事があったそうですね?」
『えぇ、まあ…語学の勉強の為に行きましたけど…』
「その時、有名な俳優さんに会ったりしませんでした?」
『会いましたよ?
でも…何でそんな事聞くんですか?』
「美緒さんの事がもっと知りたいからです。」
これは…本音なのかな?
ずーっとニコニコしている安室さんの真意が本当に分からない。
『まぁ…
ホームステイしてた時のことくらいなら話しますよ。
安室さんにはこの前助けて貰いましたし。』
「え…?この前、って?」
『観覧車の爆弾解体してたじゃないですか。
解体に成功したからあれだけの被害で済んだって
江戸川くんから聞きましたよ?だから…
ありがとうございました。』
ペコっと頭を下げると
安室さんは私の事を驚いた表情で見ていた。
「本当に…あなたって人は…」
『え?なんですか?』
「いや…何でもありません。
それよりさっきの話の続き、聞かせてもらってもいいですか?」
『?はい…
高校一年生の時、ニューヨークへ行ったんですけど…』
何で安室さんが私がホームステイしてた時の事を知りたがるのか不思議だったけど…
ただの思い出話みたいなものだし
私は彼にニューヨークに行った時のことを話し始めた。