第31章 由縁
「…本当に送って行かなくていいのか?」
『大丈夫ですって!
ポアロまで近いし歩いて行けますから!』
今日は安室さんとポアロで会う日なんだけど…
赤井さんはやっぱり心配らしくて
私が1人でポアロに行けるかどうかすら心配し始めた。
『何かあったら連絡しますから!
赤井さんもFBIの仕事あるんですよね?』
「まぁ…そうなんだが…」
『早く行かないとジョディさん達に怒られちゃいますよ?』
「分かった…だが本当に何かあればすぐに連絡しろ。
電話は出れるようにしておくから。」
赤井さんは何度も私にそう言い聞かせて
ようやく彼を仕事に向かわせる事に成功した。
昨日の夜から私は工藤邸に泊まっていて
時刻は現在午後1時半…
少し早いけど、屋敷を出てポアロに向かった。
ーーー…
久しぶりに毛利探偵事務所の下の階にある
喫茶ポアロを訪れた私。
「いらっしゃいませ、美緒さん。」
店の中に入ると安室さんは仕事中で…
私をテーブル席に案内してくれた。
『ごめんなさい、少し早かったですよね?』
「いえいえ。僕、もうすぐ休憩時間なので
それまでコーヒーでも飲んで待っててくれますか?」
『そうですね…一杯頂いてもいいですか?』
安室さんは私のコーヒーを作りにキッチンへ行き
数分経つと私の元にコーヒーを運んできて
私の向かいの椅子に座っていた。
「マスターが休憩を前倒ししてもいいと言ってくれたので
…早速ですが聞きたいことがあります。」
安室さんの声が少し真剣な声色に変わり
あの亡くなった女性の事を聞かれるのだと思い姿勢を正した。
「美緒さんは…あの男のどこが好きなんですか?」
『……はい?』
何ですかその質問は!!
事件のこととは全っ然関係ないじゃん!
「キュラソーとあなたが知り合った経緯なら
コナン君に少し聞きましたから…
今更聞きたいことはありませんよ?」
…嘘つきだこの人!
わざわざ呼び出してまで聞きたいことが
赤井さんのどこが好きかってことなの!?
意味不明!