第14章 ジェラール 「会えないけれど」
「…私を、呼んだの?」
「そうに決まってんだろ!早く来いっ!!」
強く腕を引っ張られてついこけてしまう。
するとジェラールの声が聞こえた。
「おいっ!カナタに何してるんだ!?」
私のもう片方の腕を引っ張るジェラール。
他の皆も私の手を掴む。
それを見たジェラールは私の腕を掴んでいる男の手を捻った。
「痛っ!!…てめぇっ!!」
蹴りあげられたジェラールを見て私は男の手を握って咄嗟に引っ張った。行こう、と言わんばかりに。機嫌の悪かった男は泣きそうな私の顔を見て鼻で皆を嘲笑ってから私を連れて何処かへ歩き出した。
「カナタ!待てっ!!…カナタ…!!!」
ジェラールの声が冷たい牢獄の中に響き渡った。
強い力で腕を引かれながら連れられたのは豪華な部屋の扉の前。
…ここどこだろう。
そう考えていると扉が開いた。
目の前に立っているのは40代くらいの細身のおじさんだった。
彼は私を見て息を荒くする。
「はぁ、君がカナタちゃんだねぇ…。僕が買い取ってあげるからねぇ?」
私の両肩を掴む男に悪寒が走る。
「か、買うって何!?」
「僕がここから出してあげるって言ってるんだよぉ。嬉しいでしょ?」
何を言ってるのかわからなかった。
こっちは頼んでもいないし買われたくなんてない。
「嫌だ…!皆と離れたくないもん…!」
そう言ってそっぽを向いたとき、その人の声色が変わった。
「その『皆』とやらを殺すぞ」
私は息を飲んで彼を見る。
彼はそんな私を見てニタァ、と笑った。
「君、1人の男の子と仲が良いらしいじゃない。…どうしようかなぁ。1番酷く殺してやろうか。爪と歯を抜いて、四肢を切って…」
「…っ!やめて!……わかった。行くから…」
咄嗟に叫んだ。すると私の頬を叩く。
「行くんじゃねえだろ。行かせて貰うんだろ?」
さっきまでの気持ち悪い目じゃなくて今にも殺されそうな目に私は震える。
「い、行かせて貰います…から。皆に手を出さないで、下さい…お願いします…」
震える声でそう言うと彼は満面の笑みで殴った方の頬を撫でた。
「偉いねぇ。流石、僕が見染めた子だよ」
今すぐじゃなく、2週間後に買われるらしい。
看守の男に連れられ重い足取りで牢屋に戻った。