第13章 愛の花を咲かせよう
「何コレ……戸籍謄本?」
それは、櫻井家の戸籍謄本だった
上から順に、櫻井家の面々の記述がされている
…そして…
「え?……こ、コレ……櫻井、智って…」
俺はその中に「櫻井智」と言う、在るはずの無い名前を見つけ、智くんの顔と手の中の書類を見比べた
「……あのね///」
三度パニックになりかけた俺に、智くんがそっと寄り添って
俺の手の中の書類に眼を落とし
静かに語り出した
「……僕ね、実はね……櫻井家の養子になったんだ……だからね、僕、翔くんの、本当の家族になったの///」
「………え?」
(本当の、家族…?)
混乱する俺に、智くんは尚も優しく静かに事情を語った
「本当はね?翔くんのご両親を巻き込まないで僕らだけで養子縁組み出来れば良かったんだけど
調べたら、養子に入る方が年下じゃなきゃなんないって解ってね?」
「……うん」
「それで僕ね?どうしようか迷ったんだけど、松岡さんに無理言って保証人代わりになって貰って
お父さんとお母さんに、僕を養子にしてくれるように頼んだんだ///」
「何でそんな…良く解らないけど、俺が智くんの籍に入れば良かったんじゃないの?」
混乱したまま疑問に思っていた事を訊くと
智くんは優しい笑顔のままで答えてくれた
「……今までと違う僕が……欲しかったんでしょ?///」
「……へぃ?////」
色っぽい智くんの囁きに、変な声が出る
智くんはパチクリと瞬きをする俺に、キュッと抱きつくと
お手入れの行き届いた艶っ艶な唇を、フワッ俺の唇に押し付けて
ちょっと恥ずかしそうに微笑んだ
「……happybirthday、翔くん……新しく“櫻井智”に生まれ変わった僕を、アナタにあげる////」