第75章 幸甚
林「ちょっ…、それは言わないでおくって…」
風「いや、もういい。」
扉の方から声がして振り返ると
そこには険しい顔をした風見さんが立っていた。
毛「なっ、お前は…」
上「誰です?」
毛「公安の刑事だ。」
…来るだろうとは思っていたけど
予想通りに来た風見さんを見つめていると
私に一瞬目を向けてから、再び、コナンくんが指を挿した男性の方を向いていた。
風「林警部補、あなたは山梨県警の警備課に配属された後、公安にスカウトされ、隠れ公安として地域課へ配属された。」
林「そう…ですけど…」
『その部署では確か、
押収した銃器や爆発物を処分できる立場…
でしたよね?』
林「!!」
コ「大和警部から聞いたんだけど
数年前に県境の国道で、ライフルの弾が使える銃が押収されたんだよね?それなら…服に隠せるね。」
諸「カバーを掛ければ
ライフルに見せかけることもできたはずです。」
毛「それでワニを撃ったのか…!」
林さんを睨む毛利さんを見ていると、
例の、顔見知り検事が口を開いた。
「緊急信号を受けて、すぐ山を封鎖したのに
いくら捜索しても犯人が見つからなかったのは
あなたが捜索隊に紛れていたから…」
全員で林さんに嫌疑の視線を向けると
彼は明らかに動揺している様子だった…が…
林「ちゃんとした証拠もないのに
私を警官殺しの犯人にするのは…」
…どうやらまだ認めてくれないようで
私は彼の言葉を遮り、彼が身につけている革の手袋を指差した。
『随分暖かそうな手袋してますけど…
一部引きちぎれたように破れていますね?』
林「!!こ、これは…」
上「ちなみに、ここの研究員が襲われた現場から採取された手袋痕と、移動観測車内…、そして現場に落ちていた観測車の鍵からも同じ痕が採取されてます。」
上原刑事がウサギのキーホルダーの付いた鍵を掲げ
プラネタリウムのスクリーンには
パラボラアンテナがついた移動観測車が映し出された。
それと、元太くんが噛んだ時に付着した革の一部も映し出されて…
鑑定の結果、この観測棟に侵入した犯人の手袋と一致したことも、既に調べがついていると、上原刑事は説明していた。