第74章 残像
翌朝ー…
雲の隙間から朝日が顔を覗かせ
無事に一夜が明けたことに安堵した。
小屋にいるみんなも既に目を覚ましていて
私達は全員で小屋の外に出て、
下山する事となった。
外には大友さんが1人で雪掻きをしていて
私は彼に近付いて声を掛けた。
『おはようございます、大友さん。』
「あぁ、おはようございます…
ゆっくり休めましたか?」
『はい、お陰様で。
一晩お世話になりました。』
「いえいえ、お役に立てて良かったです。」
私達の会話はそこで終わり
大友さんは再び黙々と雪掻きを再開していた。
そんな彼を見つめていると
私のそばにコナンくんが近付いてきていた。
コ「…大友さんのことが気になるの?」
『まぁ…、ちょっとね…』
コ「一応、風見さんには連絡して
大友さんが猟銃免許を持ってるか
調べてもらうようにお願いしといたよ。」
『…はは、そうなんだ。』
…零くん、
どうやら私よりコナンくんの方が
風見さんのことをこき使っちゃってるよ。
公安が仕掛けた盗聴器なのに
上手く利用されている風見さんを不憫に思っていると
上原刑事から声を掛けられた。
上「若山さん、元太くん、光彦くんは
長野県警のこちらの車に乗って下さい。」
大「犯人の目撃者だ、県警で保護する。」
『大和警部達はどうするんですか?』
大「俺達は、別ルートで下山する。」
別ルート…
私達にそう告げた大和警部は
諸伏警部のことを横目で見ていて
きっと…、いや、確実に何か企んでいるような目付きだった。
外に出た時、大和警部と諸伏警部は
2人で何か話していたし、
もしかしたら…
2人はまだここに残って
犯人を探すつもりなのかもしれない。
『あの、他の子供達や蘭ちゃん、
引率者の阿笠さんは出来れば一緒にしてあげたいんですが…』
上「それもそうね。じゃあみんな、一緒に乗って」
「「「はーいっ!!!」」」
みんなが車に乗り込み、座席が徐々に埋まっていく様子を見ていると…