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我が先達の航海士

第1章 我が先達の航海士


昼食後にライフジャケットを着て安全講習を受ける。マストやヤードに登り、セイルを張る作業に移った。
「マストクライムの基本は『三点支持』だ。両手両足で四つあるだろう?この手足のうち、三つは必ずこのはしご、シュラウドに付けた状態で支えるんだ」
最高30mある高さを、お手本として軽々登る。逐一安全に登る為の注意点をレクチャーしていた。マストから降りるやや手前で足を止める。

「ここで気が緩んで一気にドン!って降りると事故に繋がる事もあるからね。学校の階段でよくやるみたいに、最後の方の段をぴょいと飛ばして降りると危ない。気を抜かずに行くんだ」
が降りてきては、身体とシュラウドを結んでいた安全用のハーネスを取る。龍水の為だけに余分に乗せられた船員だが、ちゃんと教育者として機能していた。

最初から30mのは登らせず、16mの高さでのマストクライムをトレーニー達にさせる。皆が普段見慣れない高さに怖い、落ちそうだと震えつつも登る。
「ほら、龍水君。君の番だよ」
「ああ!!」
の声で、龍水も小さな手足でマストに足をかける。他の子供とは違い、高さに怯む事無くすいすい登る龍水。の教えたポイントもきっちり抑えている。おおーっと周囲から歓声が沸いた。
「!どうだ!?」
褒めて褒めてと言わんばかりに寄ってきた龍水の頭をなでなでする。
「龍水君は度胸があるね。あの高さを最初から怯まず登れるなんて。良かったよ」
素直に褒められてニコニコする龍水を、フランソワも見届けていた。
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