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ナターシャ

第2章 取り引き


夕食や歯磨きが終わり、お風呂に入りながら考える。
放火もいいわね。でも、証拠隠滅なするにはどうしたらいいのかしら?


いや、いきなり放火なんてダメよ。じゃあ、どうすれば?

魔女の呪いをかければいいんだわ。それには壁いっぱいに釘を打ち込まないと。でも、ドンドン音を立てたら怪しまれるかしらね?

2人のどちらかが部屋に入ってきたら魔除けよ、とでも言っておけばいいわ。

私は自分の裸を鏡でまじまじと見た。胸の上のところに深く傷が入っている。はっきり、覚えているわ。それは私が2歳の時よ。

私の父は酒ばかり飲んで荒れていたわ。母は病でベッドで塞ぎ込んでいたわ。私は父に奴隷のように扱われてナイフで刺されたけど近所の人の通報で一命を取り留めたの。そのあとは気がついたら孤児院にいた・・・・というわけ。2歳の物心がついていない歳でもよく覚えていた出来事だったからね。


私はこの居心地のいい家でまずは完璧な娘を演じることに決めて、里親を安心させることにした。急に変な行動を起こすと返って疑われるかもしれないから。

この日はおとなしく布団に入って寝ることにした。でも頭の中で構想を巡らせることはできるし、実行するには見つからないように材料を集めなければならないんだわ。


そうこうしているうちに眠気が襲って来て気がついたら朝になっていた。

ベッドから起きて窓のカーテンを開ける。身支度を済ませるとちょうど母が私を呼ぼうと階段を駆け上がろうとしていた。

「おはよう。よかったわ。ご飯に呼ぼうと思っていたの。さぁ、座って!」
「おはようございます。ではいただきますね」
私は席についてトーストを齧り、牛乳を飲み始めた。

父がテレビをつけると朝のニュース番組がやっていた。
「私はこのあと仕事に出るが、ナターシャは学校の見学にでも行ったらどうだ?」
父が私にそう促した。
「それはいいわね。どこの学校がいいのか調べましょう」
母もそう言ってくれたので私もそれに従った。

それから目玉焼きとソーセージ、サラダも平らげて私は食器を流しに下げた。
「ごちそうさま」

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