第4章 社会人場地さん×長編年上ヒロイン
「ほんとダセェな、俺」
「そんなことないよ。私のことめっちゃ好きってだけじゃん」
「好き。好きだからこそちゃんに負担かけたくないし迷惑かけたくない。そんな男だと思われたくねェんだよ、俺が」
「圭介……」
「好きな女によく見られたい、女々しいヤローだと思った?」
「まさか。彼女思いな最高のヤローじゃないっスか」
普段は大人びて見える圭介にも年下らしい可愛らしさがあるもんだ、なんて自分の口元が緩んでいくのを感じる。愛されている自信があるってこんなにも心強いもんなんだな。
いつも、いつもいつも。私に惜しみ無い愛情を注いでくれる圭介は自分がどれだけすごいことをしているか気づいていないんだろうな。
誰かに思いやってもらえることを、誰かを思いやれることを、当たり前だと思っちゃいけないよね。
「それに圭介にならちょっとくらい束縛されてもいいかなーなんて」
「ンだよそれ……ちょっとじゃすまねェぞ?」
「じゃあだめ」
「女にカゴンはねーんじゃねェのかよ」
「過言じゃなくて二言ね。私はあるのよ、私は」
「アー。ちゃん、女じゃなくてメスだしな」
「誰がゴリラだ」
久しぶりに視線が絡まったかと思えば、圭介の口からは軽口が出てくる出てくる。私たちの間にいつもの空気間が戻ってきたのを感じてホッと一安心。喧嘩したままは嫌だからね。
「にしてもよォ」
「うん?」
「いつもより感じてたよな、ちゃん」
「……デリカシー」
「どっかに落とした」
そう言いながら軽々と私をお姫様抱っこした圭介は迷うことなく寝室へと向かっていく。
たまには自分から甘えてみるかという気持ち半分、さっきはごめんねという気持ち半分をこめて圭介の首に両腕を回すと「明日雨かもな」なんて言われてしまった。
ひどい言われようですね! 槍じゃないだけありがたいと思え! くそう!
ぐっと腕に力を込めれば、ぐえっと潰れた蛙が出しそうな声が隣の男前から聞こえてきた。
「本気で絞めンな。落とすつもりかよ」
「あら。これが本気だと思わないで欲しいわね」
「コワー」