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【Dグレ夢】TRICOLORE【長編】

第25章 第二十四話 アレンを追って


「それで、ルベリエの計画にお前も手を貸してると」
「前ほど酷い事はされてないし、エクソシストがまだまだ足りないのは事実だから」

だから手伝っていると言ったユキサは、液体が無くなった点滴の針を腕から抜いた。
当たり前だが、神田は良い顔はしていない。
元々教団への憎しみが強かった神田。
サードエクソシスト計画で更に教団への憎しみが大きくなったというのに、ユキサがその計画を手伝っているなど到底許せるはずもない。

「やめろ」
「そう言うと思った。命に関わるようなものじゃないんだけど…うん。神田が嫌ならやめる」
「…簡単にやめられるのか?」

意外とあっさり返された返事に、少しだけ驚いたようにして神田が聞いた。
計画を手伝う事を決めたのも正直神田が行ってしまったからだった。
神田が戻ってきた今は、ユキサにとって一番大事なのは神田なのだ。

「ズゥ老師の件を引き合いに、実験の手伝いはやめさせてもらう。…ねぇ神田」

アレンを追うつもりなんでしょう?と、ユキサは言った。
不意を付かれた神田が目を丸くする。
珍しい表情を見ながらユキサは小さく笑って続けた。

「私のために戻ってきてくれた事は嬉しいけど、それだけじゃないと思ってる。…エクソシストとして六幻を再び持ったのなら、神田はアレンを追いかけるつもりなんだよね?」

伯爵が言っていた。
神田がアレンに六幻を刺した事によって14番目が目覚めてしまったと。

「…。パリでの任務の時、アイツのノア化の片鱗に気づいていたのに無視した」

コムイにも、他の誰にも知らせなかった。
神田のその様子を察してか、不二や彩音も異変に気づいてはいたが報告しなかった。
それはあの時一瞬でも意識を戻っていたユキサも同じだった。

「俺にとって教団はどうでもよかったからだ。だが…」

アレンは自分とアルマを救ってくれた。
なのに自分はアレンを闇へと落とした。
あの時無視していなければ…。
アレンと、そしてユキサの言葉を聞いてアルマと向き合っていれば。
アレンはノアに覚醒せずに済んだのかもしれない。

その後悔が、自由になるには少し邪魔なんだと神田は言った。
ユキサも、そしてアレンも。
神田の中ではもうただの仲間だとは言えないほど、大きな存在になっているのだ。
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