第22章 第二十一話 第三使徒計画
あんたら兄弟のよく判らん喧嘩に人を勝手に巻き込むな!迷惑です!!!
強く言ったアレンを見ながら、ユキサはほっとしていた。
14番目の意識に飲まれそうになるなら、自分が止めないとと覚悟をしていた。
ふいに、横にいた神田が風を切る。
バンダナのノアの肩に乗っているロードを口で咥えて、倒れている千年伯爵へ六幻を振り下ろした。
しかしその攻撃はいち早く気づいたティキに防がれる。
僕のロードがぁぁあと叫んでいるデザイアスの隙をついて、アレンがトクサを救出した。
ハッとした不二と彩音も伯爵へ攻撃を仕掛けるが、それもティキに防がれた。
チッと舌打ちをしながら神田とトクサを抱えたアレンがユキサの元まで後退する。
「神田!キミ、動けたんですか!?」
「悪いかよ」
だったらなんで今まで動かなかったんだとちょっと苛ついた様子のアレンの言葉を聞いて、状況理解するのに時間がかかっていたと神田は言う。
ユキサは大丈夫ですか?とアレンに問われて、ユキサが小さく頷いた。
「ギャー!何すんのエッチ!!」
「うるせぇ。テメェの兄弟が髪紐壊しやがったんだ。リボンよこせ」
「追い剥ぎする為に捕まえたんかい」
「神田、髪紐なら…」
髪をまとめるためにロードのリボンを剥ぎ取ろうとする神田の手を止めて、ユキサが手首に巻いていた髪紐を解く。
神田の誕生日プレゼントにと買ったものだったが、その頃はバタバタしていた事と、色んな思いが入り混じっていて渡せなかったもの。
神田の瞳の色と同じ蒼い石がついた髪紐を使って、ユキサが神田の髪を結った。
「敵とはいえ女の子のリボンを取るのは…」
「………」
自分と同じように長い髪がおろされているユキサを見て、神田がロードのリボンを剥ぎ取った。
再び喚くロードを無視して、神田もそのリボンでユキサの髪を結う。
「邪魔だろ」
「神田…」
「いちゃいちゃならよそでやってくれませんかね」
状況わかってるんですかと言ったトクサに、2人は視線をそらす。
とにかく一度退いて態勢を立て直す。
彩音と不二にも声をかけ6人が出口へ向かおうとした時、大きな振動と共に床下から導管が飛び出て出口を塞いだ。
「…下等生物め、本当に状況を理解してるのか?特に14番目」